大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和61年(わ)447号 判決

本籍・住居

京都市南区上鳥羽北花名町二O番地

鉄工業

北村吉也

昭和一五年七月二三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官福嶋成二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人は、自己の所有する京都府宇治市五ヶ庄西田二九番地外一〇筆の雑種地を昭和五八年九月一九日に八億四九九一万六五〇〇円で売却譲渡したことに関して、石譲渡にかかる所得税を免れようと企て、全国同和対策促進協議会中央本部本部長大石忠勝、大伴直裕らと共謀の上、自己の実際の五八年分の分離課税の長期譲渡所得金額は六億一〇九五万四七五九円、総合課税の総所得(不動産所得、給与所得)金額は一〇〇万一七〇九円で、これに対する所得税額は二億一五四八万一〇〇〇円であるにもかかわらず、全国同和対策促進協議会中央本部(本部長大石忠勝)に四億二〇〇〇万円で売却譲渡したと仮装した虚偽の売買契約書を作成し、更に同本部に対し売却に要した費用として造成費一億二〇〇〇万円を支払った旨仮装するなどした上、同五九年三月一三日京都市下京区間之町五条下る大津町八番地所在所轄下京税務署において、同署長に対し、自己の五八年分分離謀税の長期譲渡所得金額は一億八五八六万二〇六三円、総合課税の総所得金額は一七〇九円で、これに対する所得税額は五五六九万六五〇〇円である旨の内容虚偽の所得税の確定申告善を提出し、もって、不正の行為により石の正規の所得税額二億一五四八万一〇〇〇円との差額一億五九七八万四五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(検第三六号ないし第四七号の一二通)

一  大石忠勝(八通、いずれも謄本)、大伴直裕(八通、いずれも謄本)、奥村善弘(五通)、李興斉(二通)、森本清治、大伴直喜(二通)、木村博、大倉瑛子、梅本光生及び澤田敏夫の検祭官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書及び証明書

(法令の適用)

一  罰条

所得税法二三八条一項、刑法六〇条(罰金刑併科)

一  罰金額

所得税法二三八条二項

一  労役場留置

刑法一八条

一  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 萩原昌三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例